2023.8 AUGUST 68号
特集│農業農村開発とDX(デジタルトランスフォーメーション)
Contents
│特集│農業農村開発とDX(デジタルトランスフォーメーション)
世界の人口が拡大を続ける一方で、農業の担い手は世界で減少している。世界の農業農村が抱える課題を解決するため、ドローン、ロボット、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、ビックデータなどのデジタル技術を活用し、効率的に生産性を向上させ、持続可能な農業の実現が求められている。世界の農業農村開発に必要不可欠となったDX(デジタルトランスフォーメーション)の現状や課題、今後の展望など専門家の視点で探っていく。
海外情報誌企画委員会 委員長 角田 豊
株式会社日本総合研究所 創発戦略センター エクスパート 三輪泰史
特集テーマに関連する各専門分野の有識者、先駆者などによる幅広い知見、最先端の取組などを紹介します。
Keynote 1
開発途上国における農業農村開発とDX
東京大学大学院農学生命科学研究科 溝口 勝
つくばアグテック株式会社 杉山武裕
ボゴール農科大学 サティヤント・クリド・サプトモ
Keynote 2
日ASEANみどり協力プランの意義について~みどりの食料システム戦略を海外展開~
元農林水産省輸出・国際局審議官 松本雅夫
Keynote 3
「衛星データを活用した気候変動への対応」
株式会社天地人 岡田和樹
木村俊太
米陀敬次郎
世界の農業農村開発や特集テーマに関係する団体・個人による実践的な取組や、現地・現場の動向、今後の予定などを紹介します。
REPORT & NETWORK
ルワンダ共和国ルワマガナ灌漑地区ことはじめ
農林水産省 政策情報分析官 田中卓二
アジア・アフリカ地域における水資源の効率的な利用とFAOが進めるDX
関東農政局 利根川水系土地改良調査管理事務所 横川華枝
(元 国際連合食糧農業機関 土地・水資源部 準専門家)
フィリピン国アグリビジネス振興・金融アクセス強化プロジェクト(フェーズ2)~有償勘定技術支援~
NTCインターナショナル株式会社 星 誠
FOLLOW UP
ウクライナ国農業政策食料省による東北の復興地区調査
東北農政局農村振興部長 川村文洋
JIIDからの報告
東南・南アジアにおける灌漑の発展過程と展望(その2)
前(一財)日本水土総合研究所 顧問 齋藤晴美
TREND 農業農村開発に関する国際スケジュール
本誌は、一般財団法人日本水土総合研究所が定期的に発行しているものです。1994年(平成6年)からARDECとして発行してきましたが、初刊から30年近く経過したことから、第65号から「世界の農業農村開発」に名称を変更し、紙面をリニューアルしました。
本誌発行の目的は、食料確保や貧困削減、環境・生態系保全などとも密接に関係する世界の農業農村開発の現状や課題を広くお伝えすることです。このため、学識経験者、政府機関、国際機関、民間会社その他団体等の皆様から関連する自然科学・工学・人文社会学的な知識や経験について、ご寄稿いただいています。主に海外の農業や農村に関する調査研究や取組について分かりやすく紹介したいと考えています。
当研究所は、1978年(昭和53年)の設立以来、日本国内や海外において農業農村整備に関する政策や技術、知見についての調査研究や情報発信に取り組んでいます。英語名称は「The Japanese Institute of Irrigation and Drainage」です。略称は英語名称の各単語の頭文字をとってJIIDとしています。
当研究所の調査研究や情報発信においては、「産・官・学・民」のネットワークを活用し、その知見を融合することを特徴としています。「産」は民間企業、「官」は国や地方公共団体といった行政機関、「学」は大学・高校や試験研究機関、そして「民」は農業用水や農地を管理する団体である土地改良区や農業者など、幅広い関係者との連携を目指しています。
農業農村整備とは?
農業農村整備は、水田や畑といった圃場での農業生産の継続や改善を目的として、①取水堰、貯水池、ため池、用水路、排水路といった農業水利施設を建設したり、今ある水利施設を改良したりする灌漑排水の整備、②圃場の区画を大きくしたり、平らにしたり、土壌の物理化学的性質を改良したりする農地の整備、③大規模自然災害に備えて農業水利施設や農地を強化したり、災害が起こった場合に復旧したりする農村の防災減災対策などを行うものです。これは、国内外における食料の確保や飢餓の撲滅に加え、農業者の所得向上、農村の持続的発展、自然環境の保全等に貢献しています。
表紙写真
「ドローンで小麦畑を調査する農家の夫婦(ブラジル)」