海外情報誌_ARDEC

ミャンマー 撮影:谷本美加 / JICA
(ミャンマー 撮影:谷本美加 / JICA)


海外情報誌 “ARDEC”について
 本誌は農業農村開発に関する世界の新しい情報を読者に提供し、海外協力への理解を深めていただくために、平成6年度から1年に3回、平成17年度から2回発行しているものです。
 ARDEC(アルデック)とは、本誌の発行所である一般財団法人日本水土総合研究所(The Japanese Institute of Irrigation and Drainage : JIID)海外農業農村開発技術センター(Overseas Agricultural and Rural Development Center)の略称ですが、農業土木技術者全体の情報誌として位置づけていることから、農林水産省、国際協力機構、国際農林水産業研究センター、農業農村工学会のご協力により編集を進めております。

セネガル 撮影:今村健志朗/JICA
セネガル
撮影:今村健志朗 / JICA

東京大学 生産技術研究所 教授 沖 大幹

 現在、「日本は、水に恵まれた国である」と一般的に考えられているのは、貯留したり移動させたりして、水の時間的、空間的な偏在を平準化する貯水施設や水路、取水施設、さらには安全な水を届ける浄水施設、給水施設が長年にわたる投資の末に、おおむね整備された結果に他ならない。
 すでに慢性的な水不足で困っている途上国の都市では、人口増加や経済発展に伴って増大する水需要を満たすように水資源開発を進めざるを得ないであろうが、地域で供給可能な水や食料、安全な土地面積などに応じた「環境容量」に適合できる人口規模に抑えるという施策も検討の価値がある。
 日本はカロリーベースの食料自給率が約40%と食料生産を海外に頼っているからこそ、海外での干ばつや洪水といった水災害が、食料の国際価格の上昇を通じて、直ちに影響を持ち得る。したがって、人口が増大し、経済が発展して食料需要が増加している国や地域を、日本が水供給や農業生産の技術などの側面から支援して、できるだけ安定して食料を自給できるようにする施策は、わが国にとっても大きな便益が期待できる。
 水資源開発や農業開発の支援といった途上国援助は気候変動への適応策としても有効であり、自然災害リスクマネジメントや持続可能な開発との相乗効果を図りつつ、着実に実行していくことが、日本にとっても世界にとっても得策であろう。

南スーダン 撮影:久野真一/JICA
南スーダン 
撮影:久野真一/JICA

世界の大河川の水資源管理


   ARDEC 企画委員長 松浦良和
   筑波大学  名誉教授  佐藤政良
   独立行政法人 国際協力機構(JICA)
   ネパール事務所 調査役 田中幸夫
インダス川流域の革新的な水勘定システム
──衛星観測データを利用したウォーター
・アカウンティング・プラス(WA+)──
   ユネスコ水教育研究所 上級講師 プーラッド・カリミ
    岩手大学農学部 准教授 木下幸雄
   メコン河委員会事務局 農業・灌漑プログラム
   技術アドバイザー 北村浩二
   総合地球環境学研究所
   名誉教授 福嶌義宏
海外および国内の農業・農村に関連する、新しい視点や情報をお届けします。
ベトナム 撮影:久野真一/JICA
ベトナム 
撮影:久野真一/JICA
INFORMATION
英知と熱意を結集し、中山間地域の再生を目指す
   特定非営利活動法人中山間地域フォーラム 会長
   東京大学 名誉教授 佐藤洋平
灌漑の国スリランカ
   政策研究大学院大学 特任教授 粗 信仁
BOOK INFORMATION