海外情報誌_ARDEC

ケニア 写真提供:JICA/久野武志
(ケニア 写真提供:JICA/久野武志)


海外情報誌 “ARDEC”について
 本誌は農業農村開発に関する世界の新しい情報を読者に提供し、海外協力への理解を深めていただくために、平成6年度から1年に3回、平成17年度から2回発行しているものです。
 ARDEC(アルデック)とは、本誌の発行所である一般財団法人日本水土総合研究所(The Japanese Institute of Irrigation and Drainage : JIID)海外農業農村開発技術センター(Overseas Agricultural and Rural Development Center)の略称ですが、農業土木技術者全体の情報誌として位置づけていることから、農林水産省、国際協力機構、国際農林水産業研究センター、農業農村工学会のご協力により編集を進めております。

ネパール 撮影:浜田一男/JICA
ネパール
写真提供:JICA/浜田一男

近畿大学 農学部 教授 八丁信正

 現在、主流である慣行農法を継続していくのか、持続可能な農法に転換していくのかは選択の問題であり、慣行農法の非持続的な側面や環境への負の影響が避けられない以上、後者への転換が必要なのである。 その普及・拡大のためには、消費者の理解と制度・政策面の支援が必要になる。消費者は自分の健康ばかりでなく、「地域・地球の環境を健全に保つ」ために、「どういった選択をするのか」という意識を持つことが重要である。従来型の「安価・簡便・大量消費を当然とする食生活」を続けるのか、それとも「地域の環境や生産者を念頭に置いた食生活」を選択するのか──それは「食料の選択」 に留まらない、「環境や文化を含む社会の在り方の選択」でもある。

 一方、収量が十分に確保できない状態でこうした農法が拡大すれば、食料増産のために、農地拡大という新たな土地開発圧力が発生し、負の影響を及ぼす可能性がある。したがって、収量を確保するための適用条件に対する精査やそのための技術支援が重要となる。

 地球環境保全という視点からは、環境と経済をめぐるトレードオフが生じないような農法や管理方法の技術開発が求められるし、その技術の普及を国内外へ拡大する方策が必要となる。さらに、途上国と協力して生態学的農法の導入を推進するべく、導入インセンティブとしての国際的枠組み(たとえば、二酸化炭素貯留をめぐる「クリーン開発メカニズム:CCD」と同様なシステム)の立上げを模索すべきであると考える。

東ティモール 撮影:今村健志朗/JICA
東ティモール 
写真提供:JICA/今村健志朗)

世界のマメ 日本のマメ


   ARDEC 企画委員長 松浦良和
   東京大学 大学院 農学生命科学研究科
           准教授  川島博之
   アイ・シー・ネット株式会社
   コンサルタント 大西由美子
    株式会社クボタ 技術顧問 松永亮一
   農林水産省 農林水産政策研究所
         上席主任研究官 清水純一
   岩手大学 農学部応用生物化学科 准教授 塚本知玄
   豊年製油株式会社(現・J-オイルミルズ)
     元取締役中央研究所所長
   一般財団法人 杉山産業化学研究所
              元研究所長 加藤 昇
海外および国内の農業・農村に関連する、新しい視点や情報をお届けします。
セネガル 撮影:久野真一/JICA
セネガル 
写真提供:JICA/久野真一
INFORMATION
   元駐タンザニア大使           
   (現一般財団法人全国瑞穂食糧検査協会理事長)
                     中川 坦
BOOK INFORMATION
       荏開津典生、鈴木宣弘 著
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