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性能設計技術グループ


「水土」を維持する技術


 国営土地改良事業の実施地域は、大規模で生産性の高い農地を有し、我が国の食料生産の中核となる地域である。その生産力を支えているのは、ダム、頭首工、基幹的水路等の基幹的、農業水利施設であり近年の、大規模地震の発生懸念や気候変動地域環境への配慮などに適切に対応していくためには、一層高度な技術力が必要となってきている。
 このため、性能設計技術グループでは、専門家から構成される技術支援チームを作り、国営地区が抱える技術的な課題に対する助言や支援を行っている。このような活動を、「ホームドクター」と呼んでいる。また、構造物の耐震設計に関する調査研究や大規模災害等の土地改良施設の被害軽減や早期復旧を図るため、施設管理者の業務継続計画(BCP)の策定等について調査研究を進めている。

最近の主要な研究実績

−防災・減災への取組強化に関する調査研究−

 近年、集中豪雨、大規模地震などの災害発生リスクが高まっていることに対応し、当総研では、水利施設の耐震性能評価・ハード対策の検討のほか、農業水利施設の減災管理(ソフト対策)に関する研究に取り組んでいる。大規模災害時の被害の軽減や早期復旧には、特に施設管理者の事前の準備、迅速な対応が重要であることから、施設管理者の業務継続計画(BCP)の策定・運用に関する調査研究とBCPの啓発・普及に取り組んでいる。

 BCPとは、実際に大規模な災害や事故が発生した際にも業務を継続するための対応計画である。
 大規模な災害や事故が発生した場合、土地改良施設の機能が低下して、回復まで時間を要する。BCPは、その機能の低下と回復までの時間を許容限度内に抑えるために、しっかりとした事前取組を行い、災害時取組を充実させるものである。
 BCPは可能な範囲で早期に作成し、継続的にレベルアップさせていくことが重要である。左図のとおり、PDCAサイクルを回すBCM(業務継続マネジメント)に取り組むことで、意識の向上、BCPの定着化を図り、想定外の状況に対応する力を高めることが大切である。

−ため池の保全整備−

 ため池は、全国に約20万ヶ所存在し、約70%は江戸時代以前に築造されている。  ため池は、決壊した場合には下流域への影響も大きいことから、設計指針「ため池整備」の改訂、管理マニュアルの整備、機能診断マニュアルの整備、ハザードマップの整備などに関する調査研究に取り組んでいる。  全てのため池を一斉に耐震照査し、対策を施すことは困難であることから、危険性の高いため池を過去の被災事例を基に統計的に判別するスクリーニング手法の検討も行っている。