2025.2 FEBRUARY 71号

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編集後記

 温暖化、激甚化する自然災害や国際紛争など、世界の農業と農村は、いま大きなリスクにさらされています。また、世界の人口はこの四半世紀で20億人増えて82億人に達し、国連によると2050年には約96億人まで膨らむと推計され、その中で、食料を生産し、地域を維持する農業・農村の役割はますます重大なものとなっています。

 日本の農村では、少子高齢化が進み、2023年の基幹的農業従事者は116万4千人とこの5年だけで約30万人も減少し、平均年齢は68.7歳と高齢化が進行しています。さらに1961年のピーク時に609万ヘクタールあった農地は、2023年に430万ヘクタールと約3割減少しました。

 我が国では、このような課題を克服するため、省力化と生産性の向上を目指したAIやIoTといったデジタル技術を活用するスマート農業やインフラの整備が求められ、成果が出ています。これらの、日本で培った技術やノウハウ、人材育成のネットワークなどを生かし、発展途上国に対する支援についても、従来からの政府開発援助(ODA)に加えて、多様なビジネスを展開する企業や支援を行う団体もあり、既に重要な役割を担っています。そこで本誌では、今回の特集テーマを「多様な主体による農業農村開発協力の展開」とし、政府やJICA、研究機関、企業などの、国際協力の幅広い取り組みを紹介しました。

 日本は、地域に適した高度なかんがい技術と安全・安心で良質なコメを生産する稲作技術などを持っています。それらを背景に、様々な主体により、各国との連携をより一層深め、世界の農業農村開発が抱える課題の一つひとつと向き合い、確かな支援をすることができます。また、世界の農業農村開発で日本が重要な役割を担い続けることが、国内の農業・農村の発展や国内のグローバル人材の更なる育成につながることも言うまでもありません。

 最後になりましたが、今号の発行にあたり、ご多忙の中、ご寄稿いただいたご執筆者の皆様、並びに、本誌を手に取っていただいた読者の皆様にこの場をお借りしてあらためてお礼を申し上げます。

※画像や文章はそれぞれの著作権者に属します。


企画委員会

委員長  角田 豊

委 員  北田裕道  國安法夫

委 員  福村一成  渡辺 守


編集委員会

委員長  山田潤一郎

委 員  中 達雄  福村一成

いずれの委員会も氏名は五十音順


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