地図提供:日能研
(地図提供:日能研)

編集後記

 いかなる国にあっても、自然資源、人的資源、財政的資源のいずれにも限界があります。アフリカ諸国にあっては、なおのことでしょう。開発への取組みも、こうした制約のなかで進められ、海外の政府援助(ODA)やNGOの資源も加えられます。
  開発分野は経済インフラ(たとえば道路や港湾)や社会インフラ(たとえば学校や上下水道)など幅広いものがありますが、なかでも農業農村開発分野は取組みの成果が出るまでに長い時間を要します。開発に際しては「今日のない未来」も「未来のない今日」も成立しません。とりわけ、開発現場においては、いかに立派なプロジェクトであっても、それが「今日の生活」にプラスをもたらすものでなければ、人々の取組みへの意欲は高まりません。また、逆に、そこにあまり引きずられてしまえば、投入された諸資源のパフォーマンスは低いものになってしまいます。
  欧米流の効率至上主義のような大型開発は現地のオーナーシップを育成できずに、いわゆる「根付かぬ」プロジェクトで終えてしまうことも、少なくないようです。わが国の稲作やイモ類の栽培技術を生かした開発への取組みは、「食料主権」に配慮した、地域に「根付く」規模のプロジェクトとして一定の役割を果たしうるのではないでしょうか。

編集委員

委員長  堀井 潔
委 員  渋澤孝雄 内藤久仁彦 馬目雄一 岩本 彰 

※画像は、国際協力機構(JICA)・著者から提供されたものです。
※撮影は写真撮影はマリとガーナが今村健志朗、エチオピアが渋谷敦志、バングラデシュが其田益成、 コロンビアが岡原功祐の各氏で、いずれも提供は国際協力機構。
※スペース上の都合で紙媒体と電子媒体で画像などの構成が一部異なります。
※画像や文章はそれぞれの著作権者に属します。
※写真と本文は直接関係が
ない場合もあります。

コロンビア 撮影:岡原功祐/提供:JICA
コロンビア 撮影:岡原功祐/提供:JICA

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