―JIIDから―
今年度のJIIDの海外関連業務の紹介

 

 今号では、JIID海外農業技術開発センター(ARDEC)の2008年度の海外調査業務の概要を紹介します。
1.地球温暖化関連業務
(1)灌漑施設温暖化適応策検討調査
  本事業は、5年間の予定で、気候変動に伴う降雨状況の変化などが灌漑排水施設に与える影響について、予測モデルを用いて分析し、その結果を踏まえて、適応策をまとめます。
  2008年度は、事業の1年目として、JIIDにおいて、調査対象地域を選定し、それらの地域における気象・水文データ、社会経済状況、作物栽培状況などの基礎データの収集を行うとともに、分析方法の検討などを行います。
(2)農村防災体制強化対策調査
  本事業も、上記と同様に5年間実施する予定であり、農村における食料生産環境の持続的な維持に貢献するため、地球温暖化による気候変動によって、農地、農業用施設や農村集落に対して引き起こされる災害を予測して、その予測される被害を軽減するための農村地域全体の防災体制の向上のあり方を検討します。具体的には、災害時の地域内の伝達体制の改善、観測システムの整備、ハザードマップの作成などを通して、どれほど被害軽減につながるかを、モデル地区を定めて、検証します。
  2008年度は、事業の1年目として、JIIDにおいて、気象・水文データ、社会経済状況、作物栽培状況などの基礎データの収集を行い、調査の対象となるモデル地区の選定などを行います。

2.農民参加型水管理制度構築調査
  本事業は、5年間の予定で、日本の土地改良制度を活用し、開発途上国における農民水管理組織を制度面で支援する方策を検討するとともに、それに基づく支援をモデル地区にて実施し、その成果を制度構築支援マニュアル(仮称)として取りまとめます。
  2008年度は、事業の1年目として、JIIDにおいて、農民参加型水管理に関する技術協力終了後の運用面での課題、調査国における制度の仕組み、課題などの調査を行うことを予定しています。

3.効率的な農林業経済協力に関する調査
  開発途上国において、農業生産基盤を維持するためには、既存農業水利施設の適切な維持・補修が重要な課題であるため、予防保全対策を適切に実施し、施設の長寿命化を図っていく必要があります。
  このため、本事業では、開発途上国自らが施設の計画的な維持・補修・更新を推進するよう「予防保全対策実施マニュアル」を作成することを目的に調査・検討を行っています。
  2008年度は、本事業の最終年度であり、昨年度までの2年間にインドネシアとラオスの調査地域において行った機能診断などの現地調査結果を踏まえ、「予防保全対策実施マニュアル」を作成することとしています。
  この他、海外で活躍される農業農村整備に関する派遣専門家の方などへの情報提供、中国との技術交流をはじめとした国際交流事業や国際かんがい排水委員会(ICID)、国際水田・水環境ネットワーク(INWEPF)への参加を行っています。

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