( バングラデシュ 撮影: 谷本美加/提供:JICA)
編集後記
ミレニアム開発目標は2000年9月の国連サミットにて採択されました。「初等教育の普及達成」「ジェンダー平等の推進」「環境の持続可能性の確保」などと並んで、「極度の貧困と飢餓の解消」という分野があります。2015年がこれらの目標達成期限ですが、折り返しになる本年9月に、国連にて検討と達成への対応が討議されました。
地域別にみると「サブサハラ・アフリカ(サハラ以南のアフリカ)」がもっとも遅れています。1日1.25ドル未満で生活する「極度の貧困」にある人口は世界では1990年の18億人が2005年には14億人に減ったのですが、このサブサハラ・アフリカでは1億人の増加でした。「飢餓の半減」という目標についても、「改善しているが、現状では達成困難」にあります。また、国の労働人口の維持に重大な意味をもつ「エイズやマラリアの拡大防止」目標では「改善がみられない」状況です。諸目標について進捗はさまざまですが、地域としてみればサブサハラ・アフリカの改善こそ、世界の課題です。優れた特性をもつネリカ米を軸に、「アフリカの緑の革命」の推進に、日本が一定の役割を果たすことは、まさに「生きるための食料」の「安全保障」に貢献することにほかなりません。当然、現地主導型の開発になるのでしょうが、水田ニッポンが培ってきた知恵と知見は役立つ局面があるでしょう。
また一方、逼迫する国際穀物市場への需要圧力を減らすという意味で日本の食料自給率を向上させることは、世界の食料安全保障に資することであり、日本国民の食料への安心感を高めることでもあります。そのためには「食べる人と作る人の絆」を強化することが大きな課題といえます。これらについては、都市と農村の交流といったソフトなアプローチも多いに役立つのではないでしょうか。企業もCSRとして、「田んぼと子どもを結ぶ」ような企画を実施しているようです。
編集委員
委員長 堀井 潔
委 員 渋澤孝雄 内藤久仁彦 馬目雄一 岩本 彰 |
※画像は、国際開発救援財団(FIDR)・国際協力機構(JICA)・著者から提供されたものです。
※撮影は大石芳野:チャド(JICA提供)、今村健志朗さん:セネガル、ガーナ(JICA提供)、谷本美加さん:バングラデシュ(JICA提供)、船尾修:マレーシア(JICA提供)。カンボジアは国際開発救援財団。
※スペース上の都合で紙媒体と電子媒体で画像などの構成が一部異なります。
※画像や文章はそれぞれの著作権者に属します。
※写真と本文は直接関係がない場合もあります。 |