―JIIDから―
現地適正化技術開発交流セミナーの開催

 

 JIIDでは、国際交流事業の一環として、農林水産省の補助を受け、昭和63年より現地適正化技術開発交流セミナーを開催しています。今年度のセミナーは、大分県別府市において、アジア・太平洋地域の水に関する諸問題を議論する第1回アジア・太平洋水サミットが開催されるのに合わせ、11月29日〜12月2日にかけてサミットのオープンイベントとして開催されました。また、本セミナーの他、第1回アジア・太平洋水サミットの農業用水関連のオープンイベントとして、INWEPF(国際水田・水環境ネットワーク)国際ワークショップや水土里国際フォーラムin大分などのイベントも開催され、国内外から多くの農業水利関係者が集まりました。

セミナー開催状況(大分県ニューライフプラザ)
セミナー開催状況(大分県ニューライフプラザ)

  セミナーには、海外からフィリピン、インドネシア、ベトナム、タイ、マレーシア、ミャンマー、パキスタンの政府など公的機関職員および農民水管理組織の代表者が参加するとともに、国内からは、農林水産省、大学、研究機関、全国水土里ネット、水資源機構、緑資源機構から参加いただきました。
 今回は、セミナーのテーマを「末端灌漑整備と農民参加型水管理(PIM)」とし、特に政府など公的機関と農民水管理組織による共同水管理(Joint Water Management : JWM)を取り上げました。
 11月30日に、(独)水資源機構と土地改良区が役割分担して共同管理をしている両筑平野用水地区を現地視察した後、12月1日のセミナーにおいて、農林水産省農村振興局からの委託調査結果を基に、JIIDが取りまとめを行っている「アジアモンスーン地域における農民参加型末端整備・水管理指針」の概要説明を行いました。その後、日本の土地改良制度の説明、参加者それぞれの自国の水管理状況などについて発表を行い、それに基づく意見交換と討議が行われました。
 その結果、今回のセミナーの成果として以下のことが確認されました。
1.灌漑施設の維持管理や農業用水の水管理を効率的に実施するためには、政府など公的機関や農民が単独で実施するのではなく、JWMが必要であるとの共通認識を得た。
2.また、JWMの実施に当たり、各々の役割分担などの運用面での方策については、今後、継続的な議論と情報交換を通じて解決を図っていく。

現地視察(両筑土地改良区:円筒分水工)
現地視察(両筑土地改良区:円筒分水工)

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