ミャンマー 撮影:今村健志朗/提供:JICA
ミャンマー 撮影:今村健志朗/提供:JICA

編集後記

 稲の成長と開花の時期にあたる6〜8月にかけて、道東から東北地方の太平洋側に「山背」と呼ばれる冷湿な風が吹くことがあり、気温は5℃前後低下します。これが1週間近くも続くと、大減収になります。最近では、1993年に「コメ不足」がありました。
  1970年代もこのような事態があり、1974年にはSF作家の小松左京編の『地球が冷える』が出版されました。また、著名な気象学者は同年に『冷えていく地球』を著しました。この方は89年には『熱くなる地球』を書かれています。このころから、他にも「熱くなる」というテーマが増えます。70年代の「冷」から「温・熱」へ転換していきました。
  京都会議では二酸化炭素排出量削減が明確な世界的議題になりましたが、世界のリーダーであるアメリカは「温暖化およびその原因が人間の諸活動による二酸化炭素の排出にあることについては明確な科学的根拠がない」として、離脱したままでした。IPCCの議長人事にまで影響力を行使したと広く認識されていましたが、そのIPCCの第4次報告書は、本号でも概要をご紹介したように「90%を超える確率をもって、人為的温室効果ガスの増加による可能性がかなり高い」と述べています。
  温暖化は食料生産量に大きな影響を及ぼしますし、暴風雨や洪水も従来より頻繁に大規模に発生しそうです。さまざまなインフラが未整備の開発途上国、とりわけ貧しい人々がもっとも深刻なダメージを受けがちです。日本の農業技術はこうした地域、とりわけモンスーン・アジア地域における対策や適応策に十分に貢献できるのではないでしょうか。

編集委員

委員長  塩田克郎 
委 員  渋澤孝雄 内藤久仁彦 馬目雄一 岩本 彰 

※画像は、国際協力機構(JICA)・著者から提供されたものです。
※撮影は柿崎芳明さん撮影:ガーナ/今村健志朗さん撮影:モンゴル、マリ、ミャンマー/沼田早苗さん撮影:トルコ。
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