―国際機関の動向―
国連「砂漠と砂漠化に関する国際年」について
2006年1月1日に、国連の「砂漠と砂漠化に関する国際年(IYDD)」が始まりました。「砂漠化対処条約」の発効10周年にあたる2006年をこの国際年とする国連決議は、第58回総会(2003年12月)にて採択されています。この決議の背景のひとつとして、砂漠や砂漠化について一般の人々の認識を高めるとともに、砂漠の生物多様性を保全し、砂漠化の被害を受ける地域のコミュニティーやそこにある伝統的知識を保護することの必要性を、決議文の前文で述べています。
国連砂漠化対処条約事務局のプレスリリース(2005年12月23日)によると、この国際年の主要な目的は、砂漠化について「人類への大きな脅威」という輪郭を描くことです。陸地の41%は乾燥地であり、そこでは20億人が生活しています。乾燥地の10〜20%は不毛の地で、不毛化傾向は全陸地の3分の1に及び、100か国を超える地域に住む10億以上の人々の健康や暮らしを脅かすとしています。
さらに、砂漠化は環境悪化のなかで、もっとも大きな警鐘を鳴らすべきもののひとつです。砂漠化と干ばつによる農業生産の損失は毎年およそ420億ドルにもなります。砂漠化は飢餓や貧困の原因となり、社会的、経済的、政治的緊張を生み得ます。そして、そのことによって紛争が起こったり、さらなる貧困と土地の不毛化が進む可能性があるとしています。
8月25日には、国連大学にて「国際シンポジウム 砂漠とともに生きるU−乾燥地科学と現場での取り組み」が国連砂漠化対処条約事務局、緑資源機構ほか5団体の主催で開催されており、外務省、農林水産省も後援として名前を連ねています。
同シンポジウムでは、国内外からの有識者を集めパネルディスカッションなどが開催されております。
(JIID)
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写真 水汲み場の補修(マリ) |
写真 PRA:主体的参加型農村調査風景(マリ)
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