2024.8 AUGUST 70号

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編集後記

 局地的豪雨や猛暑といった異常気象が日本の各地で頻発しています。気象庁によると、記録的な猛暑となった2023年の東京都の平均気温は17.6度と1876年の13.6度から4度も上昇しています。

 世界に目を向けると洪水や干ばつ、山火事など地球温暖化の影響とみられる自然災害が各国で発生し、人々の暮らしや各国の経済を脅かしています。世界気象機関(WMO)によると、2023年の世界の平均気温は産業革命前よりも1.45度上昇し、観測史上最も暑い年となりました。加えて、2023年の海面水温も観測史上最高を記録し、9割を超す海域で海面水温が極端に高くなる「海洋熱波」という現象に見舞われました。WMOでは2021年までの約50年間に世界で発生した気象災害は、200万人超の死者と約595兆円の経済損失をもたらしたと報告書で発表しています。日本でもコメやワイン用ブドウ、ナシなど農産物の産地が変わるなど、気候変動に伴う影響が年々深刻化しています。このような背景を踏まえて、今回の本誌のテーマを「気候変動に対応した農業農村開発協力」としました。

 温室効果ガスの削減にあたって、注目されているのが、水田由来のメタンの削減です。世界の農耕地から排出される温室効果ガスの48%が水田由来であり、その94%をメタンが占めています。メタンは二酸化炭素(CO2)の25倍の温室効果があり、世界のコメ生産量の9割を占めるアジアでいかに水田由来のメタンを削減できるかが温暖化対策の鍵の1つとなっています。

 日本は2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロとする「カーボンニュートラル」の実現を目指しており、水田の中干しの技術により、農業分野の脱炭素市場を牽引していきたい考えです。他にも窒素肥料を削減しながら生産性を保てる日本発のBNI強化コムギの農業技術も世界から熱い視線が注がれています。

 気候変動に対応し、温暖化を防ぐためには、諸外国とも連携しながら、知恵を出し合い、環境に配慮した農業農村開発をいかに推進させ、発展させていくかがより重要となっています。

 最後になりましたが、今号の発行にあたり、ご多忙の中、ご寄稿いただいたご執筆者の皆様にこの場をお借りしてあらためてお礼を申し上げますとともに、本誌に目を通していただいた読者の皆様に感謝申し上げます。

※画像や文章はそれぞれの著作権者に属します。


企画委員会

委員長  角田 豊

委 員  北田裕道  國安法夫

     福村一成  渡辺 守


編集委員会

委員長  山田潤一郎

委 員  中 達雄  福村一成

いずれの委員会も氏名は五十音順


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