2024.2 FEBRUARY 69号

世界の農業農村開発

特集│新たな開発協力大綱と農業農村開発協力

「トラクターの操作を指導(インド)」

Contents

特集│新たな開発協力大綱と農業農村開発協力

2023年6月、開発途上国を支援する政府開発援助(ODA)の指針「開発協力大綱」が8年ぶりに改定された。重要政策として、「質の高い成長」、「自由で開かれた国際秩序の維持・強化」が挙げられている。気候変動やロシアによるウクライナ侵攻など世界情勢が激動する中、日本の強みである技術協力や人材育成などきめ細やかな支援を活かした持続的な農業農村開発のあり方を専門家の視点を通じて探っていく。

海外情報誌企画委員会 委員長  角田 豊

OPINION

新たな開発協力大綱と農業農村開発協力について

農林水産省 農村振興局設計課 海外土地改良技術室長  鷲野 健二

KEYNOTE

特集テーマに関連する各専門分野の有識者、先駆者などによる幅広い知見、最先端の取組などを紹介します。

Keynote 1
今後の農業・農村開発協力~国際協力機構(JICA)の協力方針~

独立行政法人国際協力機構(JICA) 経済開発部長  下川 貴生

Keynote 2
「大学の立場から今後の農業農村開発協力を考える」
"Considering Future Agricultural and Rural Development Cooperation from a University Standpoint."

東京大学 名誉教授  山路 永司

INFORMATION CHANNELS

世界の農業農村開発や特集テーマに関係する団体・個人による実践的な取組や、現地・現場の動向、今後の予定などを紹介します。

REPORT & NETWORK
大雪土地改良区と国際協力~国別研修「流域水資源管理」等を実施して~

大雪土地改良区(北海道旭川市) 総務課長  佐々木 洋文

ウクライナ農業とロシア侵攻による影響

日本工営株式会社 農村地域事業部 地域整備部  清水 敬祐

フリーマン先生と灌漑用水割当制度理論

亜細亜大学国際関係学部 教授  角田 宇子

JIIDからの報告
日本と東南アジアにおける圃場整備の変遷と将来展望

元(一財)日本水土総合研究所 顧問  齋藤 晴美


ANNOUNCEMENTS
BOOK GUIDE 途上国農業開発論 板垣 啓四郎 著

株式会社 竹中土木 顧問  角田 豊

TREND 農業農村開発に関する国際スケジュール


編集後記


海外情報誌「世界の農業農村開発」について

 本誌は、一般財団法人日本水土総合研究所が定期的に発行しているものです。1994年(平成6年)からARDECとして発行してきましたが、初刊から30年近く経過したことから、第65号から「世界の農業農村開発」に名称を変更し、紙面をリニューアルしました。

 本誌発行の目的は、食料確保や貧困削減、環境・生態系保全などとも密接に関係する世界の農業農村開発の現状や課題を広くお伝えすることです。このため、学識経験者、政府機関、国際機関、民間会社その他団体等の皆様から関連する自然科学・工学・人文社会学的な知識や経験について、ご寄稿いただいています。主に海外の農業や農村に関する調査研究や取組について分かりやすく紹介したいと考えています。


一般財団法人 日本水土総合研究所について

 当研究所は、1978年(昭和53年)の設立以来、日本国内や海外において農業農村整備に関する政策や技術、知見についての調査研究や情報発信に取り組んでいます。英語名称は「The Japanese Institute of Irrigation and Drainage」です。略称は英語名称の各単語の頭文字をとってJIIDとしています。

 当研究所の調査研究や情報発信においては、「産・官・学・民」のネットワークを活用し、その知見を融合することを特徴としています。「産」は民間企業、「官」は国や地方公共団体といった行政機関、「学」は大学・高校や試験研究機関、そして「民」は農業用水や農地を管理する団体である土地改良区や農業者など、幅広い関係者との連携を目指しています。


農業農村整備とは?

 農業農村整備は、水田や畑といった圃場での農業生産の継続や改善を目的として、①取水堰、貯水池、ため池、用水路、排水路といった農業水利施設を建設したり、今ある水利施設を改良したりする灌漑排水の整備、②圃場の区画を大きくしたり、平らにしたり、土壌の物理化学的性質を改良したりする農地の整備、③大規模自然災害に備えて農業水利施設や農地を強化したり、災害が起こった場合に復旧したりする農村の防災減災対策などを行うものです。これは、国内外における食料の確保や飢餓の撲滅に加え、農業者の所得向上、農村の持続的発展、自然環境の保全等に貢献しています。

表紙写真

「トラクターの操作を指導(インド)」