2022.2 FEBRUARY 65号
旧ARDECリニューアル号
特集│SDGsと農業農村開発
Contents
│特集│SDGsと農業農村開発
2015年に国連によって設定されたSDGs(持続可能な開発目標)は、その達成に向け、全世界が連携を強化し、具体的な取組を加速する時期に来ている。世界の農業農村開発は、SDGsの多くの目標と関連し、その達成に貢献することが期待される。本誌のリニューアルに当たり、SDGsの視点から改めて世界の農業農村開発の役割や今後の展開を読み解いていく。
海外情報誌企画委員会 委員長 角田 豊
SDGsを踏まえた今後の農業農村開発~今後の国際協力の展望~
農林水産省農村振興局整備部設計課 海外土地改良技術室長 北田 裕道
KEYWORD SDGsとは
特集テーマに関連する各専門分野の有識者、先駆者などによる幅広い知見、最先端の取組などを紹介します。
Keynote 1
SDGsと農業農村開発~持続可能な食料システムを目指して~
国際連合食糧農業機関(FAO) 駐日連絡事務所長 日比絵里子
Keynote 2
第4回アジア・太平洋水サミットと国連SDGs
熊本大学くまもと水循環・減災研究教育センター 特任教授 渡邉 紹裕
Keynote 3
青森県立名久井農業高等学校による「新たな緑の革命」(ジャパンSDGsアワードを受賞した取組)
青森県立名久井農業高等学校 非常勤講師 木村 亨
TREND イベント情報
世界の農業農村開発や特集テーマに関係する団体・個人による実践的な取組や、現地・現場の動向、今後の予定などを紹介します。
REPORT & NETWORK
中東乾燥地域における灌漑水管理に対する我が国の協力~イラクの参加型水管理の事例~
NTCインターナショナル株式会社 西谷 光生
「サバナケット県における参加型農業振興プロジェクト」
元チーフアドバイザー/地方行政(農林水産省農地資源課事業推進企画官) 高石 洋行
開発途上地域を対象とした農業分野の総合的気候変動対応技術の開発
国立研究開発法人国際農林水産業研究センター農村開発領域 主任研究員 渡辺 守
JIIDからの報告
世界の農業農村開発に向けた日本水土総合研究所の取組
ANNOUNCEMENTS
BOOK GUIDE 『世界の灌漑─比較農業水利論─』
福田 仁志 著
本誌は、一般財団法人日本水土総合研究所が定期的に発行しているものです。1994年(平成6年)からARDECとして発行してきましたが、初刊から30年近く経過したことから、第65号から「世界の農業農村開発」に名称を変更し、紙面をリニューアルしました。
本誌発行の目的は、食料確保や貧困削減、環境・生態系保全なども密接に関係する世界の農業農村開発の現状や課題を広くお伝えすることです。このため、学識経験者、政府機関、国際機関、民間会社その他団体等の皆様から関連する自然科学・工学・人文社会学的な知識や経験について、ご寄稿いただいています。主に海外の農業や農村に関する調査研究や取組について分かりやすく紹介したいと考えています。
当研究所は、1978年(昭和53年)の設立以来、日本国内や海外において農業農村整備に関する政策や技術、知見についての調査研究や情報発信に取り組んでいます。英語名称はThe Japanese Institute of Irrigation and Drainageです。略称は英語名称の各単語の頭文字をとってJIIDとしています。
当研究所の調査研究や情報発信においては、「産・官・学・民」のネットワークを活用し、その知見を融合することを特徴としています。「産」は民間企業、「官」は国や地方公共団体といった行政機関、「学」は大学・高校や試験研究機関、そして「民」は農業用水や農地を管理する団体である土地改良区や農業者など、幅広い関係者との連携を目指しています。
農業農村整備とは?
農業農村整備は、水田や畑といった圃場での農業生産の継続や改善を目的として、①取水堰、貯水池、ため池、用水路、排水路といった農業水利施設を建設したり、今ある水利施設を改良したりする灌漑排水の整備、②圃場の区画を大きくしたり、平らにしたり、土壌の物理化学的性質を改良したりする農地の整備、③大規模自然災害に備えて農業水利施設や農地を強化したり、災害が起こった場合に復旧したりする農村の防災減災対策などを行うものです。これは、国内外における食料の確保や飢餓の撲滅に加え、農業者の所得向上、農村の持続的発展、自然環境の保全等に貢献しています。
表紙写真
インドネシア、バリ島ウブド近郊のテガラランの棚田(空中写真)
インドネシア・バリ島の棚田(ライステラス)の景観は、世界文化遺産に登録されているスバックと呼ばれる伝統的な水利共同体によって維持されています。
スバックとは、「流水の分配」を意味する「seuwak」が語源とされ、古くから棚田で効率的で公平な水利用を行うシステムを構築しています。取水の単位ごとに設立され、バリ島全体で1,200のスバックがあると言われています。