編集後記 気候変動の緩和に向けた国際協調もなかなか足並みがそろわず、アメリカに誕生するバイデン政権が国際社会をどのようにリードしてゆくかが注目されるところです。新型コロナウイルスのパンデミックに対しても、バイデン氏がワクチンに前向きですし、ブッシュ、クリントン、オバマの3氏の大統領経験者も公の場でこのワクチン接種を受けると表明して、国民に広く接種を呼びかけるとのことです。12月初め時点の調査ではアメリカ国民で「ワクチン接種が始まれば受ける」との意思を示したのは60%弱というような状態でしたので、こうした呼びかけは世界レベルでの収束に寄与することでしょう。 さて世界人口は2050年前後に100億人に至ると予測されていますが、その食料を生産してゆくために、農業生産体系、そして人々の食生活はどのようにあるべきかを模索し、提案しているのがEAT−ランセット委員会です。Key Noteの「COVID-19とグローバル・フードシステム」において、その一部が紹介されています。食生活に関して、端的には「赤身肉や砂糖の消費を減らし、野菜や果物やマメ類をもっと食べよう」としています。生産では、地球環境の劣化を引き起こさない範囲での施肥や水使用に留めることを求めています。大量のフードロスも戒めています。 将来世代を思いやると地球環境保全が不可欠になり、生物多様性の保全や気候変動の緩和といったことが必須になってきます。また、国際社会にあっては自国ファーストではなく、途上国を支援し、国家社会にあっては自己中心ではなく、他の人々の暮らしにも思いを寄せる、そのような「共感」が、より良い明日を目指せる日々を、より多くの方々にもたらしてくれるのではないでしょうか
いずれの委員会も氏名は五十音順 本誌は、一般財団法人日本水土総合研究所が農林水産省から受託している「令和2年度官民連携農業農村開発技術検討調査業務(国際交流)」の国内技術検討委員会が収集した情報をもとに発行しております。 |