編集後記 「銃撃され死亡」―アフガニスタン現地時間12月4日午前8時ごろ、同国東部のジャララバードで医師の中村哲氏が死亡。誠に驚愕の報道でした。同氏の偉績:2000年に大干ばつに襲われたアフガニスタンで医療に携わってきたが、飢餓と難民を目の当たりにして、穀倉地帯の復活こそが命を救うと農業再生を目指す。そして、ガンベリ砂漠に25kmに及ぶマルワリード用水路を築くため自ら重機を操作し、日本からも若い人々がスタッフとして参加した。 この用水路の取水堰は川の流れに対して斜めに堰を築くもので、福岡県筑後川の山田堰の伝統的工法を基礎にしています。「美土里ネット山田堰」によれば、「難民支援に取り組むNGO・ペシャワール会の中村医師は、マルワリード用水取水堰の参考にするため山田堰を何度も来訪し、構造などを研究されました。とりわけ、築造から163年に当たる1953年の大洪水にも決壊しなかった、強固な『傾斜堰床式石張堰』の構造に感銘し、参考にする決断をされたそうです」。築かれた当時の施工方法であれば、高度な作業機械や資材を投入せずとも、アフガン現地の人々の協働により維持や修復が可能であるという判断も、当然におありだったのでしょう。 人類を支える農業、その農業を支える灌漑用水―農業水利をフィールドとしてきた関係者にとっては、まさに本懐とする偉業であると評価する方が少なくないはずです。なお、農業支援スタッフであった伊藤和也氏は2008年に銃撃により落命されました。ここに、両氏のご冥福をお祈りします。 さて、特集の「家族農業」は国連の展開を中心にしたものですが、わが国の稲作農業の「家族」を象徴していた詩作を農家雑誌(平成11年7月号)への投稿からご紹介します。 “田の畔の枯草を焼き帰りきし夫の野良着は煙の匂いす”
いずれの委員会も氏名は五十音順 本誌は、一般財団法人日本水土総合研究所が農林水産省から受託している「平成31年度農業農村開発技術活用促進調査業務(国際交流・技術資料作成)」の国内技術検討委員会が収集した情報をもとに発行しております。 |