トピック1[マスタープランから始まった協力の例]
タンザニアのキリマンジャロ州における地域開発マスタープランでは、計画策定と協力プロジェクトの絞り込みが行われた結果、軽工業開発プロジェクトとローワー・モシ地区灌漑稲作プロジェクトが実行された。前者は導入のタイミングが早すぎたためか成功につながらなかったが、後者はその後も順調に発展してきている。ローワー・モシ地区の事後評価において現地調査が行われた際、周辺の同地区外農家が地区上流において自力開墾で水田を造成し、本来は同地区での灌漑水として使用するキリマンジャロ山からの伏流水を盗水して、水稲栽培を行っていることが明らかになった。
評価結果は、水の統制が不十分であるとして良好ではなかったが、協力対象地区の入植農家が豊かになったことが、周辺農家の自力開墾の動機となった点を考えれば、成功プロジェクトといって差し支えないのであろう。