フードバリューチェーン調査の
最終報告セミナーを開催


 

 一般財団法人 日本水土総合研究所(JIID) 主任研究員 渡辺 守


 世界の人口増加、経済成長による食料需要の増大と食市場の拡大に対応するため、食料生産の拡大とともに、加工・流通・消費の各段階の付加価値を高め有機的につなげていく、フードバリューチェーンの構築が世界的な課題となっている。

 農林水産省は、世界の食料安全保障の確保、農家の所得向上と食産業の振興による経済成長への貢献を目的として、2013年にグローバル・フードバリューチェーン戦略を策定し、我が国のODAと民間技術・民間投資を車の両輪として取組を開始した。

 このような背景から(一財)日本水土総合研究所(以下、JIID)は、2016〜17年度の2年間、ミャンマーとケニアにおいて、フードバリューチェーンの構築・強化に係る農業農村開発調査を実施し、これらの調査を終えるにあたり、2018年1月および2月に各国において、以下のとおり最終報告セミナーを開催した。


1.ミャンマー

 1月30日、首都ネピドーでセミナーを開催した。ミャンマー側から、農業畜産灌漑(かんがい省、マンダレー地方政府、イエジン農業大学などが、日本側から、農林水産省、在ミャンマー日本国大使館、国際協力機構(JICA)ミャンマー事務所、クボタ、ヤンマーなどが参加した。

写真1 ネピドーで開催されたセミナーの参加者
写真1 ネピドーで開催されたセミナーの参加者

 JIIDは、ゴマの栽培実証調査およびモデル圃場(ほじょう整備の結果などについて、ミャンマー側は、現状の市場の課題などについて報告し、意見交換を行った。

2.ケニア

 2月21日に西部のビクトリア湖沿岸に位置するキスム市で、23日に首都ナイロビで、それぞれセミナーを開催した。ケニア側から、農業畜産灌漑省(当時)、国家灌漑公社、キスム郡政府、ケニア農業畜産研究機構、ムエアコメ生産者組合などが、日本側から、農林水産省、在ケニア日本国大使館、JICAケニア事務所、丸紅などが参加した。

写真2 ナイロビで開催されたセミナーの集合写真
写真2 ナイロビで開催されたセミナーの集合写

 JIIDは、策定したビクトリア湖沿岸地域における二つの開発計画について、およびムエア地域におけるジャポニカ米とダイズの導入を通じた水田農業の高付加価値化について、ケニア側は、国会に提出されている灌漑政策について、それぞれ報告し、意見交換を行った。


 これらのセミナーは、ミャンマー側、ケニア側による調査結果への理解を深め、フードバリューチェーンに係る現状と課題を再認識する重要な機会となった。

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