編集後記 1970年代以降、発展途上国において建設されてきたインフラ構造物は、その第一世代が、老朽化によって、構造や強度の見直し時期に入ってきています。一方、日本の農業・農村開発協力におけるODA(政府開発援助)予算は、90年代半ばを境に減少傾向にあります。このため、インフラ構造物の現況調査や維持管理の労力やコストの削減に向けた調査方法の見直しが必要とされています。 しかしながら、発展途上国における農村部の調査の手法は、1970年代から現在に至るまで、本質的には変わっていないといえるようです。地理的状況と社会的状況に関しては、調査員(団)が現地を歩いて、綿密に調べるという手法を変えることは困難だったのです。 こうしたなかで、1995年の阪神・淡路大震災を契機として、関係省庁の密接な連携の下に、地理情報システム(GIS; Geographic Information System)の効率的な整備、およびその相互利用を促進するため、内閣に「地理情報システム(GIS)関係省庁連絡会議」が設置されました。また、2011年の東日本大震災では、津波被害範囲の分析のために、人工衛星によって撮影されたSAR(Synthetic Aperture Radar:合成開口レーダー)画像が、早期の情報収集手段として採用されました。 最近は、元々は自律移動の軍事用端末ロボットとして開発され、「空の産業革命」とも称される小型無人航空機(UAV; Unmanned Aerial Vehicle)、いわゆるドローンが、生活に身近なところも含め、さまざまな分野で活躍を始めています。 これらの最新技術を利用することによって、今まで大変な時間と労力が必要だった調査を、短時間に、かつ少ない人員で簡易に実施することが可能になり、また、より詳細な調査を低コストで行えるようにもなっています。農業・農村開発分野においても、最新技術の利活用が期待されているようです。
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