編集後記 今号は、「開発協力大綱」に関連した特集を組みました。大綱の呼称が従来の「ODA大綱」から「開発協力大綱」へと、変更になったことにも象徴されますように、新たな大綱は援助対象となる範囲の拡大、さらに「国益の確保」といった国益の視点の追加、そして災害救助など非軍事目的に限定しながらも他国軍への支援の可能性が開かれたことなど、大きな特徴があります。 戦後賠償から始まり、事務的にはODAのアンタイド化の拡大など、利他的傾向を少しずつ強めていた、わが国のODAにとっては、今回の大綱の決定は、これまでのODA政策の大きな転換点になります。 新たに追加された分野への取り組みは、これから徐々に具体化されていくものと思われますが、わが国の考えを従来よりも、いっそう明確に表明していくことが求められるようになると思料します。わが国として、どの程度のリスクを取り、国益確保の観点をどの程度まで前面に打ち出していくのかなど、ある意味で、わが国の覚悟、ひいては国家としての自我のさらなる確立が必要になると考えます。 当研究所は、開発途上国における農業農村開発分野の調査研究に、相応の成果を積んでまいりました。開発協力大綱も踏まえ、引き続き調査研究を進めてまいりたいと考えております。読者の皆様のご指導ご鞭撻をお願い致します。
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