編集後記 「暖衣飽食」、簡単にいえば「腹いっぱい食べて、不足なき衣類をまとい、恵まれた生活をしている」ことです。こうした状況にあっては、およそ人は争う気もなく、心は穏やかです。一方、食べ物が不足して、空き腹に耐えざるをえない日が続けば、いらだってきます。民族レベルでそのような状況になれば、紛争の火ダネともいえます。 今号、「特集解題」にてアメリカのフーバー大統領が第2次世界大戦中に語った言葉が英語で紹介されています。「戦争は銃火に始まり、食料事情が決着をつける」と。しかし、先にも述べましたように、極度に悪化した食料事情が紛争の火ダネにもなることは、歴史からも明らかです。 このような戦時の「食」は、この号では想定しませんでした。地震国ともいえる日本の苛酷な災害時、「あなたにとって、あなたが用意できるフード・セキュリティ」があります。非常食は備蓄コストと賞味期限から、おそらく望ましい食事にならないようです。日常使いの食料を買い置いて、その賞味期限をみながら食べて、補充しておく。そして、ペットボトルの飲料水も用意しておく。 世界市民として食料を考えれば、世界人口のほぼ7分の1が慢性的食料不足状況にあります。また、おおよそ同規模の人々が、肥満症あるいは過体重にあります。サブサハラ・アフリカにおいては、5歳未満児の5人に1人は低体重にあります。先進国日本として、改善への国際協力が求められています。
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