![]() インド 撮影:谷本美加/JICA
編集後記 事柄の見立てが楽観的にすぎるのか、あるいは悲観的にすぎるのか。よくある喩(たと)え話は、コップの水が「まだ、半分もある」というか、「もう、半分しか残っていない」というか。人口と食料を論じるときは、ここまでの両極端にならないにせよ、やはり見解は分かれます。 進化論からすれば、人類は頂点に位置しますが、生物の一つの種であって、その存続は予定調和的にもたらされることではなく、確たる意図的な調整が前提になります。たとえば、温暖化防止の取組みでしょう。2050年に97億の人々が生きているという人口予測、その前提をつぶさに検討してゆくと、人類文明の今日の選択肢が見えてきそうです。 地球という人類共有の自然資産を食いつぶすことなく、その資産の利息のなかで生活してゆくという、ある意味で、あたりまえのことを原理原則とするならば、1980年代の世界はすでに、食いつぶしの時代に突入したと指摘する国際環境NGOもあります。 「ゆでタマゴ」になってから、鍋に水を加えても「生タマゴ」には戻りません。そのような不可逆反応を引き起こす、「地球の閾値(いきち)」を大きく超えないうちに、温暖化の抑制と適応に取り組むこと、そして過酷な自然条件に位置し、社会経済的にも脆弱なサブサハラ・アフリカのような地域のフード・セキュリティを支援することは、農業農村開発の実績のあるわが国へ、いっそう強く求められるでしょう。
※ 画像は、国際協力機構(JICA)・著者から提供されたものです。 ※ 目次ページ掲載の写真撮影は、いずれも提供は国際協力機構。 ※ スペース上の都合で紙媒体と電子媒体で画像などの構成が一部異なります。 ※ 画像や文章はそれぞれの著作権者に属します。 ※ 写真と本文は直接関係がない場合もあります。 ![]() モロッコ Photo:久野真一/JICA
|