編集後記 「それは、リスクが高いからやめよう」―さまざまな局面で、そのような発言がなされます。この「リスク」ですが、古代ギリシャ語で「暗礁」、ラテン語で「岩礁」、そしてラテン語動詞や古代イタリア語で「瀬踏みをして、敢えて危険をおかす」というような意味に至ったという説があります。また、アラビア語で「神の慈悲と運次第の生活」から派生したという説もあります。「リスク」にかぎらず、語源をたどってゆくと、日常的な意味合いとは多少ズレていることがあります。 環境保全が人類文明の存続に不可欠であることが、世界の共通認識になるとサスティナビリティが盛んに使用されるようになります。動詞のsustainは「重みを支える」です。「持続可能性」が果たして適訳であったのか、環境分野では疑義をもっている人も少なくありません。しかし、「いまさらその議論をしても、混乱するだけ」という見解も、もっともなことです。 「レジリアンス」を特集いたしましたが、かなり明確にご理解いただけたのではないでしょうか。単なる「回復能力」や「復元能力」にとどまるものではなく、「自己改革能力」を伴うというのも大切な一面です。無理に日本語に置き換えず、カタカナ表記で、その本来の意味を理解し、国際社会の一員として、発展途上国における農業・農村のレジリアンスの構築に貢献したいものです。
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