編集後記 世界のおよそ10億の人々が慢性的な食料不足の日々を送っています。一方、世界保健機関(WHO)によれば19億の人々が過体重か肥満症にあります。この両者の合計数の対国民比率をみると、アメリカ79%、オーストラリア71%、産油国カタール63%、液化天然ガス大国ブルネイ62%といった国々が高い数値を示しています。一方、中央アフリカ共和国5%、コンゴ民主共和国11%、マラウイ14%とアフリカ諸国はほぼ低い数値にあります。ちなみに、日本は23%とされています。 世界の穀物生産量の50%前後は人の直接的な食料となっていますが、35%前後は畜産飼料となっています。その畜産物である食肉の1人当たり年間消費量は、先進国80kg前後、発展途上国30kg前後です。 世界の食料問題は、その生産量のみならず分配にもあることが読み取れます。今号では先進国や産油国、中国などが、アフリカの農地を取得している事実を示すいくつかの報告書を紹介しています。 海外農地取得が展開されるアフリカにおいて、その飢餓がいっそう深刻になれば、そこで生産された食料を投資元の国へ搬出することは、現地の人々に阻止されるでしょうし、さらに国際社会から非難されるでしょう。先進国の人々が食生活を改めることは、世界の飢餓緩和にも、自身の健康にも望ましいといえそうです。
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