─JIIDから─

国際水田・水環境ネットワーク(INWEPF)
第8回運営会議および
シンポジウムの開催報告

 今年のINWEPF運営会議が、11月1〜3日にマレーシア・ペナン島において、INWEPF加盟17か国中14か国および国際かんがい排水委員会(ICID)関係者等、多数の参加者を得て、開催されました。

<1日目・シンポジウム>

1)キーノート・スピーチ

 ICIDから前副会長カリム・シアティ(Karim Shiati)氏により「持続可能な農業用水利用、水田の多面的機能」について、日本から大阪府立大学堀野治彦教授より「水田かんがい用水の多面的機能(滋賀県湖北地域の事例)」についての基調講演が行われました。

2)個別発表

1.テーマ「持続可能な農業用水利用」

 8名(マレーシア、エジプト、フィリピン、ベトナム、インドネシア、タイ、スリランカ)の参加者が、「統合水資源管理」、「農業生産への気候変動による影響」、「汚水処理の解決」等の発表を行いました。

2.テーマ「水田の多面的機能」

 3名(タイ、マレーシア、中国)の参加者が、「有機稲作のための水管理」、「水田の洪水防止機能、堆積物の貯留機能の評価」、「統合した近代農業開発」の発表を行いました。

<2日目・運営会議>

1)運営会議第1部において、日本より、来年2月4日にタイ(バンコク)で開催される第2回アジア太平洋水サミットでのINWEPFワークショップ、来年3月12〜17日にフランス(マルセイユ)で開催される第6回世界水フォーラムでのサイドイベントで、INWEPFからのメッセージ(案)を発出することの提案を行いました。

 また、日本から、昨年の運営会議で実施することが決定したINWEPFニュースレターの作成状況、第6回世界水フォーラムに向けたINWEPFタスクフォース会合の報告等を行いました。

2)各ワーキンググループ(WG)会合において、第6回世界水フォーラム後のINWEPFの各WGの活動の方向性等について議論を行いました。

3)運営会議第2部において、各WGの議長より、各会合で行った議論の結果報告を行い、(1)各WGの活動方針、(2)2014年のINWEPF運営会議開催地(パキスタン)の承認が行われました。

 また、運営会議第1部で日本より提案した、INWEPFからのメッセージ(案)について概ねの合意が得られ、今後、この(案)文にINWEPFの独自性をさらに強めていくことなどの改良を加えて、この(案)文を確定していくこととなりました。

 その他、日本より、昨年10月に日本で開催されたAPEC食料安全保障担当大臣会合のフォローアップとして、2012年1月に日本で開催する「水・土地資源の持続的利用に関する情報共有のためのワークショップ」へのINWEPFメンバーからの参加を呼びかけるとともに、本年3月の東日本大震災の被災に対する支援や激励に対する謝意表明およびその後の復興状況の報告を行いました。

<3日目・現地視察>

 午前中はマレーシア国立米博物館を訪問し、世界各国の米の品種、マレーシア国内の米や水田稲作で使用されていた伝統的な農機具を視察しました。午後はムダ農業開発公団を訪問し、ムダ灌漑プロジェクト(1966〜70年に実施されたマレーシアで最大の灌漑プロジェクト。主な建設施設は、3つのダムで、その総貯水量は15億m3、幹線用水路は146km、受益面積は12万6155ha、内76%の9万6558haが水田)について説明を受け、質疑応答を行いました。

会議参加者集合写真
会議参加者集合写真

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