ベトナム 撮影:久野真一/提供:JICA

ベトナム 撮影:久野真一/提供:JICA

編集後記

 生物多様性条約では、その生物多様性を「すべての生物の間の変異性をいうものとし、種内の多様性、種間の多様性および生態系の多様性を含む」と定義しています。この条約は「生物多様性の保全と利用に関する国際条約」ですから、もちろん「保全」がまず目的とされますが、「持続可能な利用」、そして昨年の名古屋会議でも議論の的になった「遺伝資源の利用から生じる利益の公正な配分」が目的になっています。

 近年、世界各地でミツバチが消えて、農業にとっては「授粉サービス」の確保が懸念されています。こうした、生態系のサービスは授粉にとどまりません。たとえば、漁業はまさに「海の幸」を食料として供給しています。食料供給のみならず、森林は河川の流量を安定化し、農業用水や飲料水を供給しています。植物は「酸素」を供給しています。生態系のサービスの総額は33兆ドルという試算もあります。これは試算当時の世界のGDPにほぼ相当します。そうした、数字はともかく、生態系のサービスがあればこそ約70億という世界人口が生存できているわけです。

 さて、生態系は代替がききません。たとえばアマゾンも、里山・里海も、それぞれの生態系が守られなければ、生物多様性は損なわれてしまいます。国際協力と当該国の努力が、人類文明の存続に不可欠です。


編集委員

委員長  堀井 潔
委 員  鈴木 博 中村充朗 岩本 彰


※ 画像は、国際協力機構(JICA)・著者から提供されたものです。

※ 目次ページ掲載の写真撮影はバングラデシュが谷本美加、タイが久野真一、ガーナと東ティモールが今村健志朗の各氏で、いずれも提供は国際協力機構。

※ スペース上の都合で紙媒体と電子媒体で画像などの構成が一部異なります。

※ 画像や文章はそれぞれの著作権者に属します。

※ 写真と本文は直接関係がない場合もあります。

モロッコの花の写真 撮影:久野真一/提供:JICA

モロッコ 撮影:久野真一/提供:JICA


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